地球の確率について
interview by Mizuki

UTA (唄)
2003年生まれ。奈良県出身。アーティストコレクティブ(InorU)のメンバーであり、祈りとケアの視点から様々な事象を空間として表現する美術作品を制作している。2021年豊岡市で夫と出会い毎日結婚式のつもりで生活と向き合っている側、俳優やモデル、デザイナーやポケモントレーナーとして活躍中。これから公開予定の参加作品はシタンダリンタ監督作品”JUST A ROOKIE LUCKY ROOKIE“等
20 Question
Q1.名前の由来について教えて?
UTA、本名が口偏に貝と書いて「唄」。
苗字が変わった回数があるので下の名前の方がアイデンティティを感じ、下の名前を使うことが多いです。
でもいま作品のクレジットで悩んでて。
「UTA」って名前の人が多すぎるんですよ世の中に。だからちょっと、いい名前を考えてます。
でも私って本当に名前が「UTA」だからなんか、オリジナルが「UTA」なのに、変えるのはむかつくなみたいなのもある。「UTA」は残したいなっていう気持ちがありますね。
Q2.作品に関わることがあるんですね。どんな活動ですか?
主な活動としては、映像の作品だったり舞台作品を作ること、あとはモデルですね。コンセプチュアルな写真のモデルとかをするので、その時に名前を掲載します。
モデル写真とかは記号的に「UTA」でいいんですけど、映画のエンドロールとかにクレジットされる時に「UTA」っていうのはちょっと相応しくないように感じてしまって、もうちょっと長いといいのかなとか。
Q3.子どものころの通学にはどれくらい時間をかけてましたか?
中学は電車で通学だったので1時間くらいかかってました。
でも高校は寮生活になって玄関でたら1分とかで学校に行けるようになって、そのときから早起きの習慣がなくなった気がします。
中学の時は一番最初に教室に着くのが好きで、普通に朝6時とかに家を出てましたね。朝練とかないのに。
Q4.通学中や早くついた教室では何をしていましたか?
ずっと一緒に通学している友達がいて、その子とおしゃべりしながら行くんですけど、通学ではなぞなぞを作って出し合ったりとかしてました。
で、早く着いて何をするかっていうと、机の上を整えて、花に水をやり、メダカに餌をあげ、写ルンですで写真を撮りあったりしてました。
めちゃくちゃいい角度で陽が入る教室だったんですよ。エモーショナルな風景で、写真を撮り合うのがすごくいいんじゃないかみたいな話になって、写ルンですを二人で買って、エモいを見つけて写真撮ってましたね。
そのときまだ「エモい」なんて言葉は流行ってなかったんですけど、あとから考えるとそれだったのかなと思います。
Q5.花に水をやったり、メダカに餌をあげたりするのは、どういうきっかけで始めたんですか?
最初は朝ただ早く登校して、おしゃべりをするだけの時間だったんですけど、「QOL」っていう言葉が二人の中で流行って、「QOLを上げるために何をしよう」ってなって。
最初はトイレの鏡の前に二人で行って、前髪をきれいにしたりとかから始まって、掃除したりとか、枯れかけている植物に水をあげたりとか。
なんか丁寧な暮らしを教室内で行うことを、悪いこと、イタズラをするくらいのニヤニヤ感でやってました。
Q6.いま時間があるときはどんなことをしますか?
時間がある時は結構家の中で過ごしてしまうんですけど、特に今冬だし寒いから。
大学に入ったくらいから、アニメみながらご飯食べたり、Podcastを聞きながら作業したり。何かしら流しながら同時に手元で麻雀のゲームしたりとか。ダブル消費。
あとは一緒に暮らしてる夫がいるときは、おしゃべりをしたり、テーマトークをしたり。
でも全然お互いゴロゴロしたりするときも、別々にゆっくりするときもあります。
Q7.お気に入りのアニメを教えてください。
「サニーボーイ」っていう2021年7月に放送されたアニメなんですけど、アニメがオリジナルで、原作の漫画などがあるというわけではないです。
渡辺信一郎が音楽アドバイザーに入っていて、起用されているミュージシャン及び劇中に流れる楽曲が毎回違変わるかつ素晴らしいセレクトです。バンドの楽曲が多いかな。
「落日飛車 / Sunset Rollercoaster」とか「空中泥棒」とか「ミツメ」とか「toe」とか、私の好き系みたいな、好きというか普段生活の中で違和感なく聞いているミュージシャンが多くて。
ノスタルジーを感じる音楽だなって思うんですよ今あげたミュージシャンたちって。それと昔っぽい、セル画っぽい塗り方の絵との相性がよくて。物語としても好きな部類ではあったんですけど、画面と音がやっぱりたまんなくて、ずっと好きだし人におすすめしまくってます。
大人におすすめかも知れない。
https://sh-anime.shochiku.co.jp/sonny-boy
Q8.音楽も結構好きなんですか?
物心ついてから音楽を聴き始めるまでの期間がすごく短くて、すぐ音楽をディグる子だったんですけど。
まず母親の家に住んでるわけなんですけど、子どもだから。
母親のレコード棚に豊富な種類のレコードがあって、レコードプレイヤーの使い方を教えてもらって、棚にあるものからジャケットを見て、選んで、かける、あ、こんな曲なんだ、を繰り返していました。それが年長さんくらい。
お家の中ですけど、「見つけて聴いてみる」というのをやっていたので、その頃にはもう誰に教わるでもなく「検索する」とか「辞書を引く」みたいなのがすごく得意になりました。中高生の時は制服のポケットに常にCanonのWORDTANK S503という2009年発売の電子辞書を入れていました。最新のDS型より検索まで早かったし、私はかっこいいと思っていたので。
Q9.思い出の食事はありますか?
本当にその食事が印象的だったのか、この話をよくエピソードトークとして人に話すから印象に残っているのかわからないんですけど。
中学生のときにモンゴルに長期滞在していたことがあって。
モンゴルの遊牧民の方のゲル(移動式のお家)を、車で草原を通りながら訪問していくことがあったんですけど、ゲルって一回客人を招き入れたら外に出す時に何か渡さないといけないっていう風習があって、基本的に飴とかチョコとかガムとかでいいんですけど。
なんかすごく裕福なゲルに訪れたときに普通に飴をもらって出て、そのまま車を走らせてそろそろ帰ろうかなというときに、向こうから手を振っている女性がいて、「どうしたの」って声をかけたら、「草原の向こうの私のゲルまで送ってほしいんだ」みたいに言われて、車に乗せて、おしゃべりをしながらその人のゲルまで行ったんです。
そのゲルが今まで見た中で一番ボロくて、ちっちゃくて、なんかもうキャンプ用テントみたいなゲルだったんですよ。床も絨毯とかなくて、草そのままみたいな。
で、「ありがとう。ちょっとうちのゲル入らない?」って言われてそのゲルに入って。
もう帰りますねってなったときに「ちょっと待って」って言われて、ヤギのミルクの上澄の膜を食べる「ウルム」という伝統料理をいただいて、これって結構レアな食材というか、「おせち」レベルのものなんじゃないのと思って、え、いいんですか?みたいな。
失礼だけど、その人が貧乏だと思ったから、いいんですかって思ったんですよ。そしたら彼女が「私は見ての通りすごく街から外れたところにゲルがあって、ヤギもたくさん持ってないし、家も小さいです。けど、いま日本からきたあなたに出会えたことはめちゃくちゃラッキーな話で、とても豊かな、プライスレスな話だから、私の一番好きな食べ物をあなたにあげたいの」って言われて。食べて、普通に味がめちゃくちゃ美味しかった。その時12歳だったんですけど、豊かさについてさまざまな角度と深みを持って考えるようになった。
あともう1個。
マジで四日くらいご飯を食べてないときに食べた、塩をかけただけのパスタが美味しかった。涙出るくらい。その2個。
Q10.行きたい場所は?
直近で言うと、長崎のハウステンボスにミッフィーエリアができるらしくて、ミッフィーが大好きなので行きたいです。
https://www.huistenbosch.co.jp/miffy/miffy-area
Q11.ミッフィーのどんなところが好き?
カラーと運動。
ミッフィーってディック・ブルーナさんっていうオランダのグラフィックデザイナーが描いた絵本が始まりなんですよ。もともとブルーナの作品ってミッフィー誕生以前はもっとシックでクールな、形・色・バランスで構成されたザ・グラフィックっていう感じだったんです。
そこにどんな子どもでも、生まれて初めて読める絵本を作りたいということでミッフィーが主人公の絵本『うさこちゃん』、オランダ語で『ナインチェ』っていうシリーズの絵本を生み出して、今もなお愛され続けているんです。
この前、「ディック・ブルーナ展」行ったんですけど、めちゃくちゃシンプルな構造の中に奥行きがあるんです。すごい二次元的で平面的な絵だけど、奥行きと運動がある。シンプルな線と形と色のバランスでキャラクターだったり、背景に運動を感じるのがミッフィーの好きなところ。ミッフィーの性格が好きとか、そういうわけではないですね。
最近、ミッフィーがちょっと流行ってた時期あるじゃないですか?パステルカラーのミッフィーのグッズとかがいっぱいデパートとかにあったと思うんですけど、そういうミッフィーを私は欲しいわけではないです。
あの「ブルーナカラー」の六色で構成されたミッフィーが好きですね。
ブルーナのレッド・イエロー・ブルー・グリーン・ブラウン・グレー+白黒
色が追加されるのにも一個一個エピソードがあって、なんか「くまちゃんのお話が欲しい」って娘に言われたから茶色を入れることにしたみたいな、そういうエピソードが一個一個色にあって。
たまんないっす!
Q12.好きな色は?
シルバーですね。
なんかズルみたいな感じなんですけど、いろんな色を反射するので。
鏡の色って人によって答えが違うと思うんですけど、私はシルバーだと思ってて。
あとファッション的なことでいうと、どんなアイテムに合わせてもいいというか。
シルバーの服装、シルバーのバッグ、シルバーの靴、シルバーのアクセサリーはどのテイストにも違和感なく馴染むなーって感じる。
Q13.よく使うファッションアイテムは?
お古ですね。豊岡に住んでるときは特にそうだったんですけど、地域のおばあちゃんとかから若い頃来ていた服とかいっぱいもらっていて、あんまり服を買ってない時期が続いています。
そういうレトロなアイテム、婦人服みたいなアイテムとさっき言ったシルバーのアイテムを合わせると、私が結構好きなテイストになるんです。奥ゆかしさを感じるテキスタイルに近未来的なシルバーの質感が入る時のあの感じ!なのでシルバーのものもすごい重宝してるし、そういう古いテキスタイルを使った服もやっぱり好きです。
あと昔の服は丈夫なのもいいですね。
Q14.最近もらったもの・買ったものは?
豊岡からの引っ越しはプレゼントしてもらいました。手作り引っ越し。
地域のお世話になった方が何台かトラック・車で集まってくれて、家具を運んでくれました。
最近買ったものは
ミッフィーのリップ。
あとお香。デザインの凝ったちょっといいカンカンに入ったものを、移動が多い人へのプレゼントのために買いました。
Q15.今気になっている言葉はありますか?三つ教えてください。
最近なんにも気になんないんだよなー。
ちょっとメモみますね。私、酔っ払ったりとかすると、メモにその時思いついた単語を書くんですけど、その中で最近面白かったのが、「地球公式」。
「地球公式」って大きく出たなって感じがして。「地球公式」ってアカウントがあったらフォローしちゃうかもなって。
あとそんなものがあるかわからないけど「電子音楽で育った稲」ですね。美味しいのかなって。
こんなんでいいのかな。
あとずっと前から気になってるのが、「ポストアポカリプス」って言う言葉。
なんか荒廃した世界みたいな世界観のアニメとかゲームとかあるじゃないですか?
あれをよく「ディストピア」って呼ぶ方がいるんですけど、違くて、「ポストアポカリプス」です。「ディストピア」は管理社会とか行きすぎた政治を描いた世界のことを言って、荒廃して文明がなくなっている世界のことは「ポストアポカリプス」なのでお間違いないように、って強調してます。
Q16.人から言われるとハッピーな言葉は?
基本なんだってハッピーっすけど。あそうでもないかもアンハッピーな言葉は一生残るよね。
最近、褒められるのが苦手。というか「えらいね」って言われるのが苦手かもです。えらいね、かぁ、みたいな。「いいね」でいいことを「えらいね」と言われた時、それってなんか皮肉入ってないっすか、みたいな。
例えば、人を助けたとかで「えらいね」って言われたら。「えらい」からやったわけじゃないのにそう言われたら。それは私の持ってる正義感とかのもと行ったことで、何か打算的に考えての行動ではないものとしたら。その「えらいね」で低く見積もられてんなって感じちゃったりします。
「えらいね」って少なくとも何かしらの葛藤があった先の行動を指す言葉な気がします。
例えば、私は音楽が好きで、いろんな音楽を聞きます。どんな国の音楽も聞きます。って言って、「えらいね」って言われたら、すごい違和感を感じます。
Q17.よく使う絵文字は?
🤜🏾👽🤛🏾
🤛🏾👽🤜🏾
Q18.信じていることを一つ教えてください
運命論ですかね。宿命論?「あらゆるものが人事や人力を超えた絶対的な力によって決定されるという考え方」のことを運命論もしくは宿命論って呼ぶんですけど。
超越的な力にコントロールされてると感じるっていうよりは、自分がすごく後悔をしやすいタチで、後悔というものがすごく苦手で苦しくて、何よりも避けたいもので、だから反省はするけど、後悔をしている時間はなるべく無くしたいなと思ったときに「私があのときどちらの選択をしたとしても、この結果になっていることはもう宿命として決まっていたので、あの過去のことをあっちにしておけばよかったとか考えても無駄だ」っていうふうに設定して考えると楽になったから、
もちろん選択の先に異なる未来が待っていると考えることもできるけど、それなら私がどちらの選択をするのかは最初から決まっていたというふうに考えてます。
それが正しいと思っているというよりは、そう考えた方が私が楽なので。ライフハックですね。
あともう一つあって、
自分の行動・発言・吐いた息・起こした振動というものは、すべて、何かしら、地球もしくは宇宙に影響を与えているわけじゃないですか。なんかそういうものをすごく考えちゃいますね。なんかそれがすごく絶対的なこの世界への信頼というか。
だからなんだろう。言霊みたいなことを日本人はよく言いますけど、なんかそれは言葉に力があるから言霊が作用するというよりは、私は、「私がスーパーヒーローになる」って100回言ったらこの地球上で発せられたセリフの中で「私がスーパーヒーローになる」と言った回数の比率がどんどん大きくなるので、地球的に「私がスーパーヒーローになる」確率がちょっと上がっていくみたいな、なんかそういうイメージがあります。
Q19.好きな映画・漫画・音楽は?
映画は『落下の王国』です。
ターセム・シンっていう監督が24ヶ所の世界遺産をロケ地にして撮った豪華絢爛叙事詩映画なんですけど。この配給会社が倒産しちゃったかなんかで、どこでも見れない状態にあったんですよ。販売はとっくに終了しているDVDでしか見れなくて、私は幼い頃に数度見たんです。
だからこうやって「私は『落下の王国』好きです」って言い続けているんですよ。いつか観れるようになるために。
そしたら本当につい最近速報が出て、いまリマスター版を制作しているらしいです。やっと観れるようになるかも。ほら、言ったでしょ🤛🏾👽🤜🏾
https://filmarks.com/movies/13755
漫画も好きなのたくさんあるんですけど。
1つ挙げるならば山岸涼子さんの『日出処の天使』って漫画ですね。
これ、なんかめっちゃ好きですね。 1番繰り返し読んだ漫画だと思います。
超能力者で同性愛者の聖徳太子が主人公の話なんですけど、信じられないほど面白いです。
私、一応奈良出身なのですが、この『日出処の天使』とか『ブッダ』を子供の頃繰り返し読んだことが、より奈良にある仏教的な、多くの歴史として残っているものに親しみを感じるきっかけになっていましたね。なんかすげえ成績上がったの覚えてますね。
本当に物語として漫画として信じられないほど面白くて、あと絵も日本画をされてる方が書いてるんですけど、とても耽美な作画で。当時女性が描く歴史物って受け入れられ辛かったはずなんですが、山岸涼子さんをはじめ1970年代に日本の少女漫画界の革新を担ったいわゆる「花の24年組」の方達の作品はそんな逆境を吹き飛ばす骨太な、でも女性的な漫画で、いつ読んでも面白いです。
あと『火の鳥』『25時のバカンス』をよく人にオススメします。お気に入り漫画。
https://tezukaosamu.net/jp/manga/656.html
音楽は、私のインスタグラムはいつも年末に「2020年ベスト20曲」みたいなのをアップするようにしているので、私が今年よく聞いた曲みたいなのは、そこからプレイリストで視聴することができます。
私がいま1番好きなミュージシャンはケイト・ブッシュという方です。この人が、いま1番好きなミュージシャンと言って大丈夫です。
Q20.最後に、何かアナウンスしたいことはありますか?
私のインスタグラムのストーリーがかわいいです。
私の人生、私のオールタイムベストブックは、リチャード・バックの『イリュージョン』で、
これは私がいつか舞台化するので、舞台化するという方はライバルだと思ってください。これは私が無茶苦茶を言ってるだけですよ。
かつ、この本って翻訳がバージョンアップされてて、私の好きな村上龍翻訳版が絶版になってて、村上龍版が!で、あの、村上龍版の復刊を望む署名運動のページがあって、
https://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=12208
めんどくさいと思うけど、私のとっても大好きな本なので、 私を好きになってくれた人は復刊に投票してくれるとうれしいな。あの私に誕生日おめでとう言い忘れちゃった時とかこれでチャラなんで。これアナウンスしたいことかも。
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